名古屋高等裁判所 昭和28年(う)290号 判決
原判決の挙示せる各証拠を綜合すれば本件各取引の玄米は何れも無検査米であつて所論の通り四等米より多少品質の粗悪なものであつたことを認め得るけれども農産物検査法に基く農産物規格規程に依れば玄米の等級は所定の品位に応じて一等から五等迄並に等外及規格外の七種類に分けられて規格外の玄米は所謂屑米に当り一等から等外までのそれぞれの品位に適合しないものであつて異種穀粒(その種類の玄米を除いた他の穀粒)四〇%以下及異物(穀粒の除いたもの)二%以下混在するものであるところ本件玄米が右等級の何れかに該当するものであるが本件記録に顕われた全証拠によるも唯前認定の如く四等米より多少粗悪なものであつたことを認め得るに止まり所論の如く五等米の品位にさえ適合しない等外米或は規格外米に属すべきものであつたか否かについては之を確認するだけの適確な資料がない。従つて該主張を前提とする論旨の当らないことは当然であるが仮りに本件の玄米が其の主張の如き品位そのものであつたとして所論の如く食糧管理法の適用外であるか否かについて考えるに食糧管理法第二十九条第二項には「都道府県知事ハ必要アリト認ムルトキハ農林大臣ノ承認ヲ受ケ本法ノ規定ニ拘ラズ屑又ハ砕ノ米穀ノ管理ニ関シ特例ヲ設クルコトヲ得」と規定し屑又は砕の米穀の管理に関し特例を設け得る道を開いている以外には同法の適用を除外する趣旨を定めた規定は全く存在しないのみならず都道府県知事においても該規定に基き農林大臣の承認を受けて本件の如き自由販売の措置を構じたと認める資料も亦根拠もない。果して然らば所論の如く等外米或は屑米であつてもなお食糧管理法第二条において主要食糧として指定せられた所謂米穀に該当し同法の適用を受けるものであること明白であるが故に原判決が本件につき同法を適用処断したのは相当であつて原判決には何等事実誤認は勿論法令の適用を誤つた違法の廉は全くない。論旨は理由がない。